書誌情報
論文名:
Leisure-time exercise, physical activity during work and commuting, and risk of metabolic syndrome. / 余暇運動、仕事中および通勤時の身体活動とメタボリックシンドローム発症の関係
著者:
Kuwahara K, Honda T, Nakagawa T, Yamamoto S, Akter S, Hayashi T, Mizoue T
対象
ヒト:
対象
一般健常者
性別
男女混合
年齢
対象数
10000以上
動物:
地域:
研究の種類・調査の方法
研究の種類:
種類1 (横断・縦断)
縦断研究
種類2 (介入・コホート)
コホート研究
種類3 (前向き・後向き)
後向き研究
調査の方法:
アウトカム
予防:
予防 (高血圧症・心疾患・脳血管障害)
な し
予防 (高脂血症・糖尿病・肥満)
な し
予防 (がん)
な し
予防 (転倒・骨折・介護)
な し
予防
メタボリックシンドローム予防
維持・改善:
維持・改善 (体力・廃用性萎縮)
な し
維持・改善 (糖質代謝・脂質代謝・タンパク質代謝・骨代謝)
な し
維持・改善 (ADL・QOL)
な し
維持・改善 (心理的指標)
な し
図表
概要・結論
概要:
【背景】 身体活動はメタボリックシンドロームに対して予防的に関わることは知られているが、身体活動量との量-反応関係や身体活動の強度の影響、仕事や通勤といった余暇以外の身体活動とメタボリックシンドローム発症との関係についてはよくわかっていない。本研究では我が国の労働者を対象として、定期健康診断データを用いてメタボリックシンドローム発症リスクと余暇運動量との量-反応関係、余暇における運動量別の運動強度、仕事中および通勤時の身体活動との関連について検討を行っている。 【方法】 本研究はJapan Epidemiology Collaboration on Occupational Health (J-ECOH) Studyの参加施設のうち、身体活動について詳しい情報を定期健康診断時に把握している1社を対象としている。対象者はベースライン(2008年度)に健診を受診した、メタボリックシンドロームや循環器疾患、がんに罹っていない22,383名(うち、女性3421名)の労働者である。追跡は最長で2014年3月まで行った。身体活動は自己申告に基づく調査票によって評価している。余暇運動は20項目の活動から最大3項目まで選択し、その実施時間と頻度を評価した。さらに、運動強度の影響を検証するために、運動強度(3-≦6メッツ、>6メッツ)および週当たり運動量(0メッツ時、>0-<7.5メッツ時、7.5-<16.5メッツ時、≧16.5メッツ時)の組み合わせに基づき、対象者を分類した。仕事中の身体活動は、作業形態に関する1つの質問(選択肢:座位、立位、歩行、かなり動く作業)から評価した。通勤活動として往復の通勤徒歩時間を評価し、<20分、20-≦40分、≧40分の3群に対象者を分類した。メタボリックシンドロームの有無は2009年に発表されたJoint Interim Statementによる診断基準に基づき判定した。メタボリックシンドローム発症のハザード比(95%信頼区間)はCox比例ハザードモデルを用いて算出した。 【結果】 平均4.1年の追跡期間中に、5,361名がメタボリックシンドロームを発症した。余暇運動量が多いほど、メタボリックシンドローム発症リスクは低下した。この関連は生活習慣や仕事要因、Body mass indexなどを調整しても変わらなかった(傾向性P値=0.004)。対象者を余暇運動量と運動強度別に分けてメタボリックシンドローム発症リスクを見ると、中強度のみの余暇運動を実施していた者ではメタボリックシンドローム発症リスクの低下は認められなかった。一方、高強度のみあるいは高強度と中強度を組み合わせた余暇運動を行っていた者ではメタボリックシンドローム発症リスクの低下を認めた。運動を行っていなかった者と比べ、高強度の運動のみを行っていた者におけるメタボリックシンドローム発症のハザード比(95%信頼区間)は、週7.5メッツ時未満の運動量では0.93(0.75, 1.14)、週7.5メッツ時以上16.5メッツ時未満の運動量では0.81 (0.64, 1.02)、週16.5メッツ時以上の運動量では0.84(0.66, 1.06)であり、中強度および高強度の運動を実施していた群ではそれぞれ0.90(0.70, 1.17)、0.74(0.62, 0.89)、0.81(0.69, 0.96)であった。仕事中の身体活動が高いほど、メタボリックシンドローム発症リスクは低下する傾向を認めたが(傾向性P値=0.039)、そのリスクの低下はわずかであった。通勤徒歩時間はメタボリックシンドロームと明確な関連を示さなかった。
結論:
余暇運動量が多いほど、メタボリックシンドローム発症リスクは低下する傾向を認めたが、リスクの低下は高強度のみあるいは中強度と高強度の運動の両方を行っていた者のみで認められた。座りがちな仕事を行う者と比べ、仕事中に体を動かす者ではわずかであるがメタボリックシンドローム発症リスクが低下していた。通勤徒歩時間はメタボリックシンドローム発症リスクと関連しなかった。
エキスパートによるコメント:
本研究は仕事や通勤活動とメタボリックシンドローム発症との関連について世界ではじめて報告したものであり、運動量や運動強度とメタボリックシンドローム発症との関連を検証した数少ない研究の一つである。本研究の対象者は日本の大企業の労働者であり、業種も限られているため、中小企業などへの結果の一般化は慎重に行う必要がある。また、男性が主体の集団であったため、今後、女性が多い企業での検討が必要である。
評価選定・編集の考え方
文献データベースに掲載されている文献は、以下の基準を参考に選定しています。
我が国の体力科学、スポーツ科学および健康科学分野における専門家が推薦した身体活動、運動、体力に関する重要文献を掲載しました。
また、身体活動量・運動量の増加および体力向上による生活習慣病発症予防をアウトカムとする研究を対象にシステマティックレビューを行い、「健康づくりのための運動基準2006-身体活動・運動・体力-」(平成18年厚生労働省)策定に用いられた文献も掲載しています。
文献の領域
文献データベースには、以下の分野の文献が掲載されています。
病態別(予防もしくは改善)
呼吸器系
- 気管支喘息
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- その他の呼吸器疾患
脳・神経系
- 認知機能
- 脳血管障害(脳内出血、脳梗塞)
- その他の脳・神経系疾患
精神科系
- 鬱(うつ)病
- 慢性疲労症候群(CFS)
- その他の精神疾患
一般(ヒト)
- 生活習慣病の一次予防
- 体力維持・改善
- 介護予防
- 廃用性萎縮の予防・改善
- 転倒・骨折予防
- 日常生活動作(activities of daily living: ADL)の維持・改善
- 生活の質(quality of life: QOL)の維持・改善
- 心理的指標の維持・改善
一般(動物)
- ラットを用いた研究
- イヌを用いた研究
- ウサギを用いた研究
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- 著者名
- 雑誌名
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- 結論
- エキスパートのコメント
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- 「年齢」“13~18歳” “19~44歳”
- 「対象数」“10~50”
→ 「対象」がヒトの “一般健常者” で、「年齢」が “13~18歳” か “19~44歳” のどちらかで、「対象数」が “10~50” の、 全ての条件を満たすデータが検索されます。
3 検索結果一覧
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類義語一覧
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汎用語 |
類義語 |
有酸素性運動 |
エアロビクス
持久性トレーニング
持久性運動
耐久力トレーニング
|
筋力運動 |
ウエイトトレーニングレジスタンストレーニング筋力トレーニングウエイトリフティング |
バランス運動 |
バランストレーニング平衡性トレーニング平衡性運動 |
柔軟性運動 |
柔軟性トレーニングストレッチ運動ストレッチ |
体力水準 |
体力レベル身体機能水準身体機能レベル身体活動水準身体活動レベル |
身体活動 |
身体運動スポーツ活動スポーツパフォーマンス |
体力 |
身体活動能力活動能力身体能力身体機能身体遂行能力フィットネス
|
トレーニング |
訓練鍛錬 |
レジスタンストレーニング |
筋力トレーニング筋力向上運動 |
日常生活動作 |
日常生活活動ADLADLs |
余暇活動 |
レジャー活動レクリエーション |
総死亡 |
死亡者数死亡数死亡率全死亡全死亡者数全死亡率 |
冠動脈危険因子 |
冠動脈リスクファクター心血管危険因子心血管リスクファクター |
最大酸素摂取量 |
VO2max最高酸素摂取量VO2peak有酸素能力持久力有酸素パワー運動耐用能心肺系体力
|
運動処方 |
運動療法運動プログラムトレーニングプログラム |
歩行 |
ウォーキング散歩ウォーカー |
ジョギング |
ランニング走運動ジョガー |
生活習慣 |
ライフスタイル生活様式 |
肥満 |
肥満症過体重 |
CHD |
冠動脈疾患心血管疾患心疾患 |
IHD |
虚血性心疾患心血管疾患心疾患 |
収縮期血圧 |
最高血圧最大血圧 |
拡張期血圧 |
最低血圧最小血圧 |
座業的 |
身体不活動不活動非活動無活動 |
自転車エルゴメータ |
自転車駆動サイクルエルゴメータ自転車漕ぎ |
運動負荷テスト |
運動負荷試験持久性テスト持久力テスト |
負荷量 |
ワークロードWatt数 |
運動強度 |
負荷強度強度 |
耐糖能異常 |
インスリン感受性インスリン抵抗性高血糖 |
運動量・身体活動量 |
METs・時/週kカロリーエネルギー消費量 |
高脂血症 |
高コレステロール血症脂質代謝異常低HDL血症 |
骨粗鬆症 |
低骨密度 |
高血圧症 |
本態性高血圧症 |
腹部脂肪症候群 |
内臓脂肪 |
習慣化 |
定期的アドヒレンス習慣性継続性 |
筋力 |
パワー |
高齢者 |
老齢者老人 |
中齢者 |
中年者中年 |
若齢者 |
若年者若年 |
質問紙 |
アンケート調査票 |
乳酸閾値 |
乳酸性作業域値無酸素性作業閾値換気閾値VTATLT |
乳酸閾値 |
乳酸性作業域値無酸素性作業閾値換気閾値VTATLT |
相関関係 |
関連性関係性 |
除脂肪量 |
除脂肪組織筋量筋サイズ |
QoL |
QOL人生の質生活の質クオリティ・オブ・ライフ |
インスリン |
インシュリン |
グルコース |
ブドウ糖糖 |
動脈硬化 |
アテローム硬化アテローム |
脳血管障害 |
脳梗塞脳卒中 |
メタボリックシンドローム |
糖代謝異常代謝異常腹部脂肪症候群内臓脂肪 |
BMI |
体格指数Body Mass Index |
罹患率 |
罹病率有病率 |
体力テスト |
体力測定身体機能テスト身体機能測定 |
マウス |
ラットネズミ |
運動種目 |
運動様式運動方法 |
運動強度 |
主観的運動強度RPEBorg Scale |
カテコラミン |
アドレナリンノルアドレナリン |
介入前 |
ベースライン運動前 |
訓練者 |
運動選手鍛錬者アスリート競技者 |
認知機能 |
脳機能 |
検索項目
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- 論文名
- 著者名
- 掲載雑誌名・巻・号・頁
- 発行年
- 対象
- 地域
- 研究の種類
- 研究の方法
- 介入の方法
- アウトカム
- 概要;文献の概要を文献紹介者が日本語でまとめています。
- 結論;文献から導き出される結論を文献紹介者が報告しています。
- エキスパートによるコメント;文献紹介者が文献に関するコメントを添付しています。
- フリーキーワード