管理番号:
PB010002

書誌情報

論文名:
Cardiovascular fitness, cortical plasticity, and aging. / 心血管体力と皮質可塑性や加齢 
著者:
Colcombe SJ, Kramer AF, Erickson KI, Scalf P, McAuley E, Cohen NJ, Webb A, Jerome GJ, Marquez DX, Elavsky S.
雑誌名:
Proc Natl Acad Sci U S A.
発行年:
2004
巻:
101
号:
頁:
3316-21

対象

ヒト:
対象
一般健常者
性別
男性
年齢

66.2±8.2、67.9±7.8

対象数
10~50
地域:
地域1
欧米

研究の種類・調査の方法

研究の種類:
種類1 (横断・縦断)
横断研究
種類2 (介入・コホート)
コホート研究
種類3 (前向き・後向き)
その他
調査の方法:
方法
実測

介入の方法

介入の方法:
運動様式
Walking vs Stretcing(control)
運動強度
60-70%HR reserve (開始時40-50%)
運動時間
40-45 min (開始時10-15min)
運動頻度
3 回/週
運動期間
6ヶ月
その他
controlは柔軟性の向上、難易度を上げた柔軟体操、PNFなど

アウトカム

予防:
予防 (高血圧症・心疾患・脳血管障害)
な し
予防 (高脂血症・糖尿病・肥満)
な し
予防 (がん)
な し
予防 (転倒・骨折・介護)
介護予防
維持・改善:
維持・改善 (体力・廃用性萎縮)
体力維持・改善
維持・改善 (糖質代謝・脂質代謝・タンパク質代謝・骨代謝)
な し
維持・改善 (ADL・QOL)
QOL改善
維持・改善 (心理的指標)
な し

図表

図表1:
図表2:
図表掲載箇所:
P3317, 図1; P3318, 図2

概要・結論

概要:

心血管系の健康は加齢に伴う認知機能の減少を抑制すると考えられているが、そのメカニズムはあまりよく分かっていない。本研究では、心血管系の健康度と認知機能の関係を横断的研究により示し、心血管系トレーニングが認知機能を向上することを介入研究より示した。方法:認知機能の測定にはフランカー課題(選択的注意と判断を要する課題)を使用し、競合課題に対する反応遅延時間とfMRI撮影中の帯状回前部(葛藤をモニターする)の活動により評価した。横断研究では、41名の高齢者において、Rockport 1-mile walking testでVO2maxを推定し、健康度の高いグループと低いグループで認知機能を比較した。介入研究では、29名の高齢者をWalkingを行う群と、Strecth群に分け、介入前後の認知機能を比較した。結果:横断研究より、心血管系の健康度が高いグループは、低いグループと比較して反応遅延時間が短く、課題実施中のfMRiでは注意に関わる部位(中前頭回、上前頭回、下頭頂小葉)の活性が高く、帯状回前部の活性が低かった。介入研究では、Walking群で介入後の反応遅延時間が短縮した。また、課題実施中のfMRIでは、Walking群がStretch群と比較して注意に関わる部位(中前頭回、上前頭回、上頭頂小葉)の活性が高く、帯状回前部の活性が低下した。

結論:

横断研究、介入研究ともに予想された脳活動が観察された。この二つの実験により、心血管系の健康度改善が加齢に伴う認知機能の減少を改善するとともに、それに伴う脳の可塑性が示された。

エキスパートによるコメント:

有酸素能力が高齢者の認知機能と密接に関係していることを示した意義深い研究である。本研究が公衆衛生に与える影響は大きい。

担当者:

藤本敏彦