管理番号:
PB010003

書誌情報

論文名:
Cerebral activation during bicycle movements in man. / ヒトでの自転車運動中の脳活性化 
著者:
Christensen LO, Johannsen P, Sinkjaer T, Petersen N, Pyndt HS, Nielsen JB.
雑誌名:
Exp Brain Res.
発行年:
2000
巻:
135
号:
1
頁:
66-72

対象

ヒト:
対象
一般健常者
性別
男女混合
年齢

24~27

対象数
10未満
地域:
地域1
欧米
地域2
デンマーク

研究の種類・調査の方法

研究の種類:
種類1 (横断・縦断)
横断研究
種類2 (介入・コホート)
その他
種類3 (前向き・後向き)
その他
調査の方法:
方法
実測

介入の方法

介入の方法:
運動様式
自転車
運動強度
異なる3つの強度ペダル負荷 0.5kg, 6kg,12kg
運動時間
それぞれ1.5分間
運動頻度
実験日のみ
運動期間
無し
食事制限 kcal/day
無し

アウトカム

予防:
予防 (高血圧症・心疾患・脳血管障害)
な し
予防 (高脂血症・糖尿病・肥満)
な し
予防 (がん)
な し
予防 (転倒・骨折・介護)
な し
維持・改善:
維持・改善 (体力・廃用性萎縮)
体力維持・改善
維持・改善 (糖質代謝・脂質代謝・タンパク質代謝・骨代謝)
な し
維持・改善 (ADL・QOL)
ADL改善
維持・改善 (心理的指標)
な し

図表

図表1:
図表掲載箇所:
P69, 図2

概要・結論

概要:

この研究は自転車運動時の大脳の活動をポジトロン断層法(PET)と15O-H2O(H215O)を用いて観察したものである。体の運動の中枢である一次感覚運動野、補足運動野や運動を微調節する小脳の活動が高まることが明らかとなった。この結果は先行研究と一致するものである。この研究のポイントは運動形態を変化させて脳活動をそれぞれ観察していることである。自転車を自分で漕いだ場合(能動的運動)と足を乗せたペダルを他者に回してもらう受動的な運動を比較した場合、領域は能動的運動が大きいものの、ほとんど同じ脳領域が活性化する。リハビリなどが脳へ及ぼす影響を視野に入れた研究であるが、受動的な運動であっても脳の感覚運動野は活性化されることが示された。また実際に運動を行わず、運動することを想像しただけでも、補足運動野にわずかではあるが活性化が認められた。イメージトレーニングを視野に入れた研究であるが、イメージトレーニングが技術の向上に有効である生理学的な論証の1つと思われる。自転車の回転数を変化させたところ、回転数に相関して感覚運動野と小脳が活性化することが分かった。自転車の様な一定の運動を繰り返すリズミカルな運動では、その速度の調節に感覚運動野と小脳が重要な働きを行っていると考えられる。

結論:

身体運動は、脳から筋肉への神経伝達で行われている。しかし、筋肉や健、骨から脳に返される感覚情報も身体運動の正確性を確保する上で重要である。また返された情報を処理する脳領域の活動も必要である。さらに随意運動は「何かをしよう」とする意志の元で行われている。感覚運動野は運動の指令を出し、また戻された感覚情報を使い運動を修正しているものと思われる。小脳は感覚情報を処理し、感覚野に返していると考えられる。また運動しようとする意志は、補足運動野を活性化させることで運動に関与していると考えられる。

エキスパートによるコメント:

この研究は運動のいくつかの条件下で脳活動を観察した初めての論文である。実際運動では様々な要因が関係知るため、この研究はスポーツ選手、指導者、医療関係者に必要な重要な内容が含まれている。

担当者:

藤本敏彦