管理番号:
PB011101

書誌情報

論文名:
Age-dependent effect of resistance exercise on growth hormone secretion in people / 人の抵抗運動の成長ホルモン分泌に与える年齢依存的効果 
著者:
Pyka G, Wiswell RA, Marcus R
雑誌名:
J Clin Endocrinol Metab
発行年:
1992
巻:
75
号:
2
頁:
404-7

対象

ヒト:
対象
一般健常者
性別
男女混合
年齢

27±1.6歳と72±1.6歳

対象数
10~50
地域:
地域1
欧米
地域2
アメリカ

研究の種類・調査の方法

研究の種類:
種類1 (横断・縦断)
横断研究
種類2 (介入・コホート)
その他
種類2 (その他)
運動に対する急性効果
種類3 (前向き・後向き)
前向き研究
調査の方法:
方法
実測

介入の方法

介入の方法:
運動様式
レジスタンストレーニング
運動強度
1RMの70%、若者については1RMの60,70、85%

アウトカム

予防:
予防 (高血圧症・心疾患・脳血管障害)
な し
予防 (高脂血症・糖尿病・肥満)
な し
予防 (がん)
な し
予防 (転倒・骨折・介護)
な し
予防
筋肥大の可能性
維持・改善:
維持・改善 (体力・廃用性萎縮)
な し
維持・改善 (糖質代謝・脂質代謝・タンパク質代謝・骨代謝)
な し
維持・改善 (ADL・QOL)
な し
維持・改善 (心理的指標)
な し

図表

図表1:
図表2:
図表掲載箇所:
P406, 図1、3

概要・結論

概要:

運動は成長ホルモン分泌のための一過性の刺激となることが知られている。従来報告されている有酸素運動の効果に対する応答によれば、免疫反応性の一過性のGH増加が運動後15分あたりで始まり、回復期に徐々に低下するとされている。レジスタンストレーニングによってもGHは増加する。しかし、若者のGHは強度‐時間依存的に増加することが報告されているものの、高齢者についての他の研究では、目だった変化はなかったと報告されている。本研究は、レジスタンス運動に対する成長ホルモン応答における加齢と性別の影響を特徴づけるため、レジスタンス運動に対する循環GH変化を系統的に評価した。ここで用いたレジスタンス運動は、膝伸展(大腿四頭筋)、膝屈曲(ハムストリングス)、脚伸展(大腿四頭筋)、脚外転(中臀筋)、脚内転(臀部筋群)、プルオーバー(肩の回転筋群)、二頭筋屈曲(上腕二頭筋、上腕筋)、肩外転(三角筋)、臀部伸展(大臀筋)、体幹回旋(腹斜筋)、腹部屈曲(腹直筋)、臀部外転の12種類で、臀部外転については両側で実施されたため、運動は全部で13回項目であった。図1は、各レジスタンス運動を1項目ごとに3セット実施した後のGH変化を両被験者群について示したもので、若者ではGHの漸増が認められるが、高齢者では増加が認められない。また、図3は12人の若者のうち7名について、負荷強度を変えて同プロトコールのレジスタンス運動を実施した際のGH変化である。1RMの60%では変化がないが、70%、85%と強度依存的にGH濃度が増加している。これらの結果から、中等度のレジスタンストレーニングは若者についてはGHの分泌を促す刺激となり、8回反復×3セットでその刺激を得るには1RMの70%強度が必要である。高齢者では、同反復回数によるレジスタンストレーニングを1RMの70%で行っても、GHの分泌増加は得られないと結論した

結論:

8回反復×3セットによるレジスタンストレーニングによってGHの増加を得るには、若者では1RMの70%強度が必要である。同反復回数によるレジスタンストレーニングを1RMの70%で実施した場合、高齢者にはGHの分泌増加は得られない。

エキスパートによるコメント:

レジスタンストレーニングにおける負荷強度と血中GH濃度の変化を細かく測定した研究である。筋力増強に対して必ずしも筋肥大は必要ではなく、筋肥大にGHが不可欠か否かも現在意見の分かれるところであるが、資料としては興味深い研究である。

担当者:

高石鉄雄