書誌情報
対象
18-89歳
研究の種類・調査の方法
アウトカム
図表
概要・結論
日本人における慢性痛の発症と共に,痛みの継続割合,関連する要因,そして慢性痛の現在の状況を,2010年に行われた大規模横断研究で対象になった人々に再び調査した.2010年の疫学研究に参加した11,507人のうち,二度目の質問紙調査の返答率は,慢性痛が既にあったグループからは85%,痛みが無かったグループからは76%であった.今回明らかになった新たな慢性痛発症は11%だった.慢性痛発達の危険因子は,専門職,マネージャー職,聖職者/専門職,女性,BMI25以上,現在タバコ飲酒あり,専門学校以上の学歴であった.しつこい慢性痛は回答者の45.2%であった.中でも痛みのスコアが高く,5年以上の痛みを継続している者は,痛みが継続するリスクが最も高かった.しつこい慢性痛がある回答者の80%以上は治療の経験があり,そのうち30%は調査の段階で治療を受け続けており,残りの50%は痛みがあるものの,治療にあまり満足できずに中断してしまっていた.
慢性痛の発症と,しつこい慢性痛の発達に関連する危険因子を突き止めた.慢性痛を予防するための対策は,慢性痛の病理の理解を得るために,高いリスクのある集団に対し特に重要である.
日本全国,北海道から九州まで9つの地域で10,000人以上の質問紙調査をした大規模横断研究の第二調査である.縦断研究を行うことで慢性痛に関連する危険因子を明らかにし,対象者の治療の状況も明らかにしている等,貴重な国民的データである.
橋本有子