管理番号:
PB012160

書誌情報

論文名:
Dementia And Physical Activity (DAPA) trial of moderate to high intensity exercise training for people with dementia: randomised controlled trial / 認知症患者への中高強度運動トレーニング:無作為化比較試験
著者:
Lamb SE, Sheehan B, Atherton N, Nichols V, Collins H, Mistry D, Dosanjh S, Slowther AM, Khan I, Petrou S, Lall R; DAPA Trial Investigators
雑誌名:
BMJ
発行年:
2018
巻:
361
号:
頁:
k1675

対象

ヒト:
対象
有疾患者
性別
男女混合
年齢

77

対象数
100~500
動物:
対象
空白
対象数
空白
地域:
地域1
欧米

研究の種類・調査の方法

研究の種類:
種類1 (横断・縦断)
縦断研究
種類2 (介入・コホート)
介入研究
種類3 (前向き・後向き)
前向き研究
調査の方法:
方法
質問紙

介入の方法

介入の方法:
運動様式
有酸素性運動筋力トレーニング
運動時間
60?90分
運動頻度
週2回
運動期間
4ヵ月監視型+8ヵ月非監視型

アウトカム

予防:
予防 (高血圧症・心疾患・脳血管障害)
な し
予防 (高脂血症・糖尿病・肥満)
な し
予防 (がん)
な し
予防 (転倒・骨折・介護)
な し
維持・改善:
維持・改善 (体力・廃用性萎縮)
な し
維持・改善 (糖質代謝・脂質代謝・タンパク質代謝・骨代謝)
な し
維持・改善 (ADL・QOL)
な し
維持・改善 (心理的指標)
な し
維持・改善
認知機能改善

図表

図表1:
図表掲載箇所:
k1675 表3

概要・結論

概要:

有酸素性運動や筋力トレーニングが認知症患者の認知機能低下を抑制する仮説が広まっているが、ヒトを対象とした臨床研究は多くはない。本研究では、中程度の認知症を有する者に、中高強度の有酸素性運動・筋トレを適用した際の効果をRCTにて検証した。対象者494名を2対1の割合で運動群(329人)と通常ケア群(165人)に分けた。運動群へは1回60?90分間の監視型のグループ運動プログラム(6?8人/グループ)を週2回の頻度で4ヵ月間実施し、その後は週150分を目安に身体活動量を増やすサポートを提供した。プログラムの内容は、自転車を使った有酸素性運動と、ダンベルを使った筋力トレーニングによって構成された。通常ケア群は、ガイドラインに則ったカウンセリングや身体活動増進などを含めたケアを受けた。12ヶ月後、認知スケールのスコア(ADAS-cog)は通常ケア群で23.8点に対し、運動群で25.2点と高く(=不正解が多く)、その差は有意であった (ADAS-cog は全問正解で0点、全問不正解で70点となる)。認知症のサブタイプごとに解析しても有意な運動効果は見られなかった。運動能力は運動群で高まっていた。

結論:

中高強度の有酸素性運動と筋力トレーニングから構成された運動プログラムでは、中程度の認知症患者の認知機能低下を抑制できないことが示唆された。運動トレーニングで体力は向上したが、その他の医学的評価項目の改善は認められなかった。

エキスパートによるコメント:

今回のような単純な運動トレーニングでは認知症患者の認知機能低下を抑制することができなかったことは残念な結果である。しかし、運動には様々な様式・種類があり、認知的・心理的効果はそれらに影響を受けることが予想されるため、多様な運動種目において検討がなされることが望ましい。

担当者:

辻本健彦