書誌情報
論文名:
Combined aerobic and resistance training and incidence of diabetes: A retrospective cohort study in Japanese older women. / 有酸素運動とレジスタンストレーニングを組み合わせたトレーニングと糖尿病罹患率:日本人高齢者女性を対象とした後ろ向きコホート研究
著者:
Sawada SS, Gando Y, Kawakami R, Blair SN, Lee IM, Tamura Y, Tsuda H, Saito H, Miyachi M.
対象
ヒト:
対象
一般健常者
性別
女性
年齢
対象数
10000以上
動物:
地域:
研究の種類・調査の方法
研究の種類:
種類1 (横断・縦断)
縦断研究
種類2 (介入・コホート)
コホート研究
種類3 (前向き・後向き)
後向き研究
調査の方法:
アウトカム
予防:
予防 (高血圧症・心疾患・脳血管障害)
な し
予防 (高脂血症・糖尿病・肥満)
糖尿病予防
予防 (がん)
な し
予防 (転倒・骨折・介護)
な し
維持・改善:
維持・改善 (体力・廃用性萎縮)
な し
維持・改善 (糖質代謝・脂質代謝・タンパク質代謝・骨代謝)
な し
維持・改善 (ADL・QOL)
な し
維持・改善 (心理的指標)
な し
図表
概要・結論
概要:
【研究の背景】世界保健機関は、1980年に1億800万人であった糖尿病患者数が2014年までの間に約4倍の4億2,200万人まで増加したと発表している。そして、なんらかの有効な対策をとらなければ2025年までに世界の糖尿病患者は7億人に達してしまうと予測している(WHO)。日本においても近年、2型糖尿病患者が激増している。有酸素運動や筋力トレーニングが2型糖尿病の発症を遅らせたり、予防することが報告されているが有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせたトレーニング(サーキットトレーニング)が糖尿病を予防するかどうかについては明らかにされていない。【目的】日本人女性を対象にサーキットトレーニングの実施頻度と2型糖尿病発症率の関係を明らかにする。【研究デザイン】後ろ向きコホート研究(過去のデータを使用する追跡研究)【研究方法の概要】2014年に、2005年から2010年にサーキットトレーニングを実施している施設に入会した会員の一部(16,241人)を対象にした質問紙調査を行った。12,940人が質問紙に回答した。そして入会時に糖尿病に罹患していない10,680人を対象に入会後に糖尿病に罹患した人を把握した。入会後にどのくらいの頻度でサーキットトレーニングを実施しているかは、施設への入館管理記録を使用して調査した。【解析】入館回数で研究参加者を四分位に分類した(等分に4つの群に分類した)。そして、最初の四分位(第1四分位)を基準にして追跡期間中における他の群の糖尿病罹患率を評価した。【結果】追跡期間中に166人が糖尿病に罹患していた。第1四分位群(Q1)を基準(1.00)にすると、Q1と比較してサーキットトレーニングの実施頻度が若干多い第2四分位群(Q2)の糖尿病罹患の危険度は0.84であり、Q1より約16%低い相対危険度であった。同様にQ3は0.69、Q4は0.61という相対危険度であり、トレーニング頻度と糖尿病罹患の間に負の量反応関係(サーキットトレーニングの実施頻度が多い群ほど糖尿病罹患の相対危険度が低いという関係)が観察された(左の図)。さらに、研究参加者を大腿周で2群に分類してサーキットトレーニングの実施頻度と糖尿病罹患の関係を確認したところ全身の筋量の指標として用いた大腿周が細い群ほどサーキットトレーニングの実施頻度と糖尿病罹患の関係が明確であった。【考察】サーキットトレーニングの実施頻度が多いほど糖尿病罹患者が少なかったことから、サーキットトレーニングを実施すると糖尿病の発症を遅らせたり、予防したりできる可能性があることが分かった。さらに、筋量が少ない人におけるサーキットトレーニングの実施効果が顕著であったことから、筋量が少ない中高齢女性に対して有酸素運動に加えて、筋量を増加させる可能性がある筋力トレーニングを組み合わたサーキットトレーニングを実施すれば糖尿病予防により効果があるかも知れない。
結論:
本研究は、日本人女性において、サーキットトレーニングの実施頻度と2型糖尿病罹患の間に負の量反応関係があることを観察した。
エキスパートによるコメント:
本研究は、大腿周が細い日本人女性において、サーキットトレーニングの実施頻度と2型糖尿病罹患の間に負の量反応関係があることを観察している。一方で、すでにある程度の筋量を保持している人達においては明確な負の関係を観察していない。骨格筋は糖の貯蔵庫としての役割を担っている。筋力トレーニングはこの貯蔵庫を大きくしする。そして有酸素運動は貯蔵庫までの運搬路(毛細血管)を拡張し、整備する。サーキットトレーニングはこれらの2つの方法によって筋量の少ない日本人女性の糖尿病を効率よく予防する可能性がある。日本人は肥満にならなくても糖尿病になる人が大勢いる民族であることが知られているが、糖尿病予防を考えた時に肥満だけではなく筋力や筋量を意識したトレーニングプログラムを考えるより効果的かも知れない。
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評価選定・編集の考え方
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また、身体活動量・運動量の増加および体力向上による生活習慣病発症予防をアウトカムとする研究を対象にシステマティックレビューを行い、「健康づくりのための運動基準2006-身体活動・運動・体力-」(平成18年厚生労働省)策定に用いられた文献も掲載しています。
文献の領域
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呼吸器系
気管支喘息
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
その他の呼吸器疾患
脳・神経系
認知機能
脳血管障害(脳内出血、脳梗塞)
その他の脳・神経系疾患
精神科系
鬱(うつ)病
慢性疲労症候群(CFS)
その他の精神疾患
一般(ヒト)
生活習慣病の一次予防
体力維持・改善
介護予防
廃用性萎縮の予防・改善
転倒・骨折予防
日常生活動作(activities of daily living: ADL)の維持・改善
生活の質(quality of life: QOL)の維持・改善
心理的指標の維持・改善
一般(動物)
ラットを用いた研究
イヌを用いた研究
ウサギを用いた研究
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持久性運動
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バランス運動
バランストレーニング 平衡性トレーニング 平衡性運動
柔軟性運動
柔軟性トレーニング ストレッチ運動 ストレッチ
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身体活動
身体運動 スポーツ活動 スポーツ パフォーマンス
体力
身体活動能力 活動能力 身体能力 身体機能 身体遂行能力 フィットネス
トレーニング
訓練 鍛錬
レジスタンストレーニング
筋力トレーニング 筋力向上運動
日常生活動作
日常生活活動 ADL ADLs
余暇活動
レジャー活動 レクリエーション
総死亡
死亡者数 死亡数 死亡率 全死亡 全死亡者数 全死亡率
冠動脈危険因子
冠動脈リスクファクター 心血管危険因子 心血管リスクファクター
最大酸素摂取量
VO2max 最高酸素摂取量 VO2peak 有酸素能力 持久力 有酸素パワー 運動耐用能 心肺系体力
運動処方
運動療法 運動プログラム トレーニングプログラム
歩行
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ジョギング
ランニング 走運動 ジョガー
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CHD
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最高血圧 最大血圧
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運動強度
負荷強度 強度
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骨粗鬆症
低骨密度
高血圧症
本態性高血圧症
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内臓脂肪
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乳酸閾値
乳酸性作業域値 無酸素性作業閾値 換気閾値 VT AT LT
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罹病率 有病率
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