管理番号:
PB012270

書誌情報

論文名:
Cycling promotion and non-communicable disease prevention: health impact assessment and economic evaluation of cycling to work or school in Florence / サイクリングの促進と非感染性疾患の予防:フィレンツェにおける自転車通勤・通学の健康効果と経済的評価
著者:
" Taddei C, Gnesotto R, Forni S, Bonaccorsi G, Vannucci A, Garofalo G."
雑誌名:
PLoS One
発行年:
2015
巻:
10
号:
4
頁:
e0125491

対象

ヒト:
対象
一般健常者
性別
男女混合
年齢

15歳以上

対象数
10000以上
動物:
対象
空白
対象数
空白
地域:
地域1
欧米

研究の種類・調査の方法

研究の種類:
種類1 (横断・縦断)
縦断研究
種類2 (介入・コホート)
その他
種類2 (その他)
シミュレーションモデルによる推定
種類3 (前向き・後向き)
その他
調査の方法:
方法
質問紙

アウトカム

予防:
予防 (高血圧症・心疾患・脳血管障害)
心疾患予防
予防 (高脂血症・糖尿病・肥満)
糖尿病予防
予防 (がん)
な し
予防 (転倒・骨折・介護)
な し
維持・改善:
維持・改善 (体力・廃用性萎縮)
な し
維持・改善 (糖質代謝・脂質代謝・タンパク質代謝・骨代謝)
な し
維持・改善 (ADL・QOL)
な し
維持・改善 (心理的指標)
な し

図表

図表1:
図表掲載箇所:
13/22、表9

概要・結論

概要:

"イタリアのフィレンツェにおいて、学校や職場へ通学・通勤する15歳以上の人たちを対象集団として、自転車通勤・通学が促進された2つのシナリオを設定し、10年間(2013年~2022年間)の非感染性疾患の発症リスクや医療費への影響をシミュレーションした。2011年の国勢調査から、フィレンツェにおいて、学校や職場へ自転車で通う15歳以上の人の割合は、7.5%(約1万3千人)であった(1日の自転車利用時間は平均33分)。そこで、通学・通勤における自転車活用が7.5%から17%(シナリオ1)または27%(シナリオ2)へ増えると、非感染性疾患の発症リスクや地域医療保健サービスの直接医療費がどのように変化するのかを推定した。シナリオ1では、自転車利用によって、10年間で予防できる症例数は、2型糖尿病280症例、急性心筋梗塞51症例、脳卒中51症例で、地域医療保健サービスの10年間での貯蓄額は4,008,037ユーロ(約5億円(1ユーロ125円とした場合))と推定された。シナリオ2では、自転車利用によって、10年間で予防できる症例数は、2型糖尿病549症例、急性心筋梗塞100症例、心不全14症例、脳卒中99症例で、10年間での貯蓄額は7,712,006ユーロ(約9億6千万円(1ユーロ125円とした場合))と推定された。"

結論:

フィレンツェの就学者や就労者に対して自転車通勤・通学が促進されるような政策やプログラムは、非感染性疾患の罹患者数を減らし、医療費抑制効果に貢献する可能性がある

エキスパートによるコメント:

シミュレーションモデルによって、自転車活用促進による健康効果と医療費抑制効果が期待できることが示された研究である。一方で、自転車による事故は重篤な怪我に繋がり、高額な医療費がかかることも日本のグループから報告されているため、日本においては安全に自転車に乗れる環境整備も必要になると思われる。

担当者:

丸藤祐子・澤田亨