管理番号:
PB012271

書誌情報

論文名:
"Associations between Recreational and Commuter Cycling, Changes in Cycling, and Type 2 Diabetes Risk: A Cohort Study of Danish Men and Women / レクリエーションや通勤での自転車習慣と2型糖尿病発症リスク:デンマーク男女におけるコホート研究"
著者:
"Rasmussen MG, Grontved A, Blond K, Overvad K, Tjonneland A, Jensen MK, Ostergaard L"
雑誌名:
PLoS Med
発行年:
2016
巻:
13
号:
7
頁:
e1002076

対象

ヒト:
対象
一般健常者
性別
男女混合
年齢

50-65歳

対象数
10000以上
動物:
対象
空白
対象数
空白
地域:
地域1
欧米
地域2
デンマーク

研究の種類・調査の方法

研究の種類:
種類1 (横断・縦断)
縦断研究
種類2 (介入・コホート)
コホート研究
種類3 (前向き・後向き)
前向き研究
調査の方法:
方法
質問紙

アウトカム

予防:
予防 (高血圧症・心疾患・脳血管障害)
な し
予防 (高脂血症・糖尿病・肥満)
糖尿病予防
予防 (がん)
な し
予防 (転倒・骨折・介護)
な し
維持・改善:
維持・改善 (体力・廃用性萎縮)
な し
維持・改善 (糖質代謝・脂質代謝・タンパク質代謝・骨代謝)
な し
維持・改善 (ADL・QOL)
な し
維持・改善 (心理的指標)
な し

図表

図表1:
図表掲載箇所:
10/17 表2より作成

概要・結論

概要:

"本研究の目的は、デンマーク成人におけるサイクリング習慣(レクリエーション活動と通勤における自転車利用)と2型糖尿病リスクの関係を前向きコホート研究から調べることであった。1993年から1997年におけるベースライン調査で、2型糖尿病や慢性疾患の既往歴のないデンマーク出身の男性24,623人と女性27,890人(50?65歳)が、サイクリング習慣や生活習慣に関する質問に回答した。約5年後の2回目の調査で、参加者は新しく更新された生活習慣に関するアンケートに回答した。サイクリング習慣(レクリエーションおよび通勤における自転車利用やサイクリング習慣の変化)と2型糖尿病発症との関係がCox回帰を用いて推定された。追跡期間743,245人年(平均追跡期間14.2年)の間に、6,779人が2型糖尿病を発症した。総サイクリング時間(レクリエーション活動中と通勤中の自転車利用時間の合計)が0分/週(全くなし)の群と比較して、1-60分/週、61-150分/週、151-300分/週、> 300分/週の群の多変量調整ハザード比(95%信頼区間)は、1、0.87(0.82-0.93)、0.83(0.77-0.89)、0.80(0.74-0.86)、0.80(0.74-0.87)であった(トレンド検定P= <0.001)。季節ごとの分析では、サイクリング習慣なしの群と比較して、夏季または冬季のみサイクリング習慣がある群、夏も冬もサイクリング習慣がある群の多変数調整ハザード比(95%信頼区間)は、1、0.88(0.83-0.94)、0.80(0.76-0.85)であった。ベースライン調査から2回目の調査におけるサイクリング習慣の変化と2型糖尿病発症との関連では、サイクリング習慣なしの群と比較し、サイクリングを中止した群、開始した群、継続していた群の多変量調整ハザード比(95%信頼区間)は1、0.88(0.78-1.01)、0.80(0.69-0.91)、0.71(0.65-0.77)であった。最後に、通勤中の自転車利用時間に関する分析では、0分/週(全くなし)の群と比較して、1-60分/週、61-150分/週、> 150分/週の群の多変量調整ハザード比(95%信頼区間)は、1、0.72(0.60-0.87)、0.83(0.69-1.00)、および0.70(0.57-0.85)であった。"

結論:

通勤やレクリエーション活動のサイクリング習慣は、デンマーク成人における2型糖尿病発症リスクの低下と関連していた。さらに、サイクリングの開始や継続が2型糖尿病発症リスクの低下とも関係していることが示された。

エキスパートによるコメント:

"デンマークにおいて食事や生活習慣とがん発症との関連を調査する目的で行われているDiet, Cancer and Health cohort studyからの報告である。サイクリング習慣がある人では2型糖尿病リスクが低いという明確な量反応関係が示されていた。デンマークを含め欧州では自転車を利用しやすい環境が日本よりも整っていると考えられる。現在の日本では、まずは安全に自転車に乗りやすい環境整備が必要であると思われる。"

担当者:

丸藤祐子・澤田亨