管理番号:
PB012337

書誌情報

論文名:
Television viewing and cognitive decline in older age: findings from the English Longitudinal Study of Ageing / 高齢者におけるテレビ視聴と認知機能低下の関連-英国老化縦断研究からの知見-
著者:
"Fancourt D, Steptoe A."
雑誌名:
Sci Rep.
発行年:
2019
巻:
9
号:
1
頁:
2851

対象

ヒト:
対象
一般健常者
性別
男女混合
年齢

67.1±7.7歳

対象数
1000~5000
動物:
対象
空白
対象数
空白
地域:
地域1
欧米

研究の種類・調査の方法

研究の種類:
種類1 (横断・縦断)
縦断研究
種類2 (介入・コホート)
コホート研究
種類3 (前向き・後向き)
前向き研究
調査の方法:
方法
実測

アウトカム

予防:
予防 (高血圧症・心疾患・脳血管障害)
な し
予防 (高脂血症・糖尿病・肥満)
な し
予防 (がん)
な し
予防 (転倒・骨折・介護)
な し
維持・改善:
維持・改善 (体力・廃用性萎縮)
な し
維持・改善 (糖質代謝・脂質代謝・タンパク質代謝・骨代謝)
な し
維持・改善 (ADL・QOL)
な し
維持・改善 (心理的指標)
な し
維持・改善
認知機能

図表

図表1:
図表掲載箇所:
"P4,Table 2"

概要・結論

概要:

"テレビの視聴が子どもの認知機能に及ぼす影響については大きな関心が寄せられてきたが,高齢者の認知機能への影響に関する研究はあまり行われてこなかった.本研究は,英国老化縦断研究(the English Longitudinal Study of Aging; ELSA)に参加している50歳以上の中高齢者3662名を対象に,ベースラインのテレビ視聴時間と6年後の認知機能の関連について縦断的に検討した.欠損値などを除いた分析対象者は3590名(女性の割合:56.2%)であった.テレビ視聴時間は自己報告式の調査で評価され,1日<2.5時間,2.5‐3.5時間,3.5‐4.5時間,4.5‐7時間,>7時間に区分された.認知機能は言語記憶(verbal memory)と意味流暢性(semantic fluency)で評価された.分析の結果,ベースラインの認知機能,人口統計学的要因,健康関連指標,テレビ視聴以外の座位行動活動を調整した後でも,ベースラインのテレビ視聴時間と6年後の言語記憶との間に統計学的有意な関連が示された.テレビ視聴時間が1日3.5時間以上の者は,3.5時間未満の者と比較して,6年後の測定時において,言語記憶が統計学的有意に低下していた.これは,ベースラインの測定直後に認知症を発症したと報告した者を除いて分析した結果においても同様であった.一方,ベースラインのテレビ視聴の多寡と意味流暢性の低下の間には,統計学的有意な関連は示されなかった."

結論:

"中高齢者において,1日3.5時間以上のテレビ視聴は,言語記憶の低下と関連している.この結果は,長時間のテレビ視聴が中高齢者の認知機能に悪影響を及ぼす可能性があることを示唆している."

エキスパートによるコメント:

"本研究は,比較的大規模なサンプルを対象に,縦断的研究デザインを用いて,中高齢者のテレビ視聴時間と認知機能の関連を検討した貴重な研究である.またテレビ視聴時間の長さと認知機能の低下の関連について,テレビ番組の特性やテレビ視聴が脳機能に与える影響の視点から考察している点も興味深い."

担当者:

安永 明智