書誌情報
論文名:
Community-level sports group participation and the risk of cognitive impairment. /地域における高齢者のスポーツグループ参加割合と認知機能低下リスクの関連
著者:
Tsuji T, Kanamori S, Miyaguni Y, Hanazato M, Kondo K
雑誌名:
Med Sci Sports Exerc
対象
ヒト:
対象
一般健常者
性別
男女混合
対象数
10000以上
地域:
研究の種類・調査の方法
研究の種類:
種類1 (横断・縦断)
縦断研究
種類3 (前向き・後向き)
前向き研究
調査の方法:
アウトカム
予防:
予防 (高血圧症・心疾患・脳血管障害)
な し
予防 (高脂血症・糖尿病・肥満)
な し
予防 (がん)
な し
予防 (転倒・骨折・介護)
介護予防
予防
認知機能低下予防
維持・改善:
維持・改善 (体力・廃用性萎縮)
な し
維持・改善 (糖質代謝・脂質代謝・タンパク質代謝・骨代謝)
な し
維持・改善 (ADL・QOL)
な し
維持・改善 (心理的指標)
な し
図表
図表掲載箇所:
(JAGES Press Release NO: 182-19-16)
https://www.jages.net/library/pressrelease/?action=cabinet_action_main_download&block_id=2652&room_id=549&cabinet_id=174&file_id=7570&upload_id=9166
概要・結論
概要:
多くの人が活発に社会参加している地域では、人のつながりや信頼関係が豊かになり、その人が参加しているか否かを問わず健康度が高くなる可能性がある。私たちのこれまでの研究からも、運動やスポーツのグループに参加する高齢者が多い地域では、自身の参加状況に関わらず“うつ”のリスクが低いことを明らかにした。うつは認知症を引き起こす主要なリスク因子である。そこで本研究では、地域の運動・スポーツグループへの参加割合と、その地域に暮らす高齢者の認知症リスクとの関連性を検証した。方法: 2010~12年に日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study: JAGES)が実施した調査を起点に、その後6年間の認知機能低下の状況を追跡できた高齢者40,308人(7道県・16市町村)を分析対象とした。346の地域(およそ小・中学校区)ごとに、運動・スポーツグループに月1回以上参加している者の割合を集計し、その地域に暮らす高齢者の認知機能低下との関連を調べた。自身が運動グループに参加しているか否か、年齢、性、疾患(脳卒中、高血圧、糖尿病、聴覚障害)、肥満、社会的孤立、飲酒、喫煙、教育歴、所得、人口密度、日照時間の要因の影響を統計学的に調整した。結果: 約6年間の追跡期間中に9.8%(3,940人)に認知機能低下が確認された。運動・スポーツグループの参加割合は平均で25.2%であり、0.0%~56.5%の地域差が認められた。参加割合が10%ポイント増えたと仮定すると、その地域に暮らす高齢者全体の認知機能低下のリスクが8%低くなる結果が確認された。これは、個人の参加状況の影響を差し引いた結果であり、すなわち、参加者が多い地域ではたとえ参加していない人でも、認知症リスク低下の恩恵を受ける可能性がある。また、毎日の歩行時間が30分増えるごとに認知症リスクは約12%低下することが確認された。上述した「8%」のリスク低下は、その地域の高齢者全員が毎日20分多く歩くことに匹敵するだけの認知症予防効果がもたらされる計算となる。
結論:
高齢者の運動・スポーツグループへの参加割合が高い地域に暮らす高齢者は、自身が参加しているか否かに関わらず、そこに暮らしているだけで認知症のリスクが抑制されることが示された。
エキスパートによるコメント:
地域に高齢者が参加できる運動やスポーツのグループを増やすことは、その参加者のみならず、その地域の高齢者全体の認知症予防に有益である可能性が示された。そのような地域では、意識的・無意識的に健康的な行動が伝染したり、健康に良い環境や施設が整えられていたりすることなどが、その理由として考えられる。
評価選定・編集の考え方
文献データベースに掲載されている文献は、以下の基準を参考に選定しています。
我が国の体力科学、スポーツ科学および健康科学分野における専門家が推薦した身体活動、運動、体力に関する重要文献を掲載しました。
また、身体活動量・運動量の増加および体力向上による生活習慣病発症予防をアウトカムとする研究を対象にシステマティックレビューを行い、「健康づくりのための運動基準2006-身体活動・運動・体力-」(平成18年厚生労働省)策定に用いられた文献も掲載しています。
文献の領域
文献データベースには、以下の分野の文献が掲載されています。
病態別(予防もしくは改善)
呼吸器系
- 気管支喘息
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- その他の呼吸器疾患
脳・神経系
- 認知機能
- 脳血管障害(脳内出血、脳梗塞)
- その他の脳・神経系疾患
精神科系
- 鬱(うつ)病
- 慢性疲労症候群(CFS)
- その他の精神疾患
一般(ヒト)
- 生活習慣病の一次予防
- 体力維持・改善
- 介護予防
- 廃用性萎縮の予防・改善
- 転倒・骨折予防
- 日常生活動作(activities of daily living: ADL)の維持・改善
- 生活の質(quality of life: QOL)の維持・改善
- 心理的指標の維持・改善
一般(動物)
- ラットを用いた研究
- イヌを用いた研究
- ウサギを用いた研究
検索手順
検索を実行するには、条件を設定して、画面の下にある「検索」をクリックします。
何も指定しないで検索を実行すると、全件が表示されます。
検索は、大きく分けて、
で行います。
両方の項目を指定した場合には、両方の条件を共に満たす文献が検索されます。
1 フリーキーワード検索
自由な言葉で検索を行います。検索を行うのは、以下の項目からです。
- 論文名
- 著者名
- 雑誌名
- 概要
- 結論
- エキスパートのコメント
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個々の用語間の関係をandで検索したい場合には、テキストボックス右の「結合」の「and」を選んでください。
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用語を入力して検索されない場合は、類義語を入力すると検索される場合があります。
2 指定条件検索
必要な条件を個別に指定して検索します。項目間はandで検索されます。
ただし、「年齢」は、チェックした項目のorで検索されます。
- 「対象」~ヒト~ “一般健常者”
- 「年齢」“13~18歳” “19~44歳”
- 「対象数」“10~50”
→ 「対象」がヒトの “一般健常者” で、「年齢」が “13~18歳” か “19~44歳” のどちらかで、「対象数」が “10~50” の、 全ての条件を満たすデータが検索されます。
3 検索結果一覧
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4 詳細画面
検索結果の「詳細」をクリックすると、詳細画面が開きます。
フリーキーワードの文字列は赤字になります。
類義語一覧
(原則として汎用語を入力,希望する文献が検索されない場合は類義語を入力)
汎用語 |
類義語 |
有酸素性運動 |
エアロビクス
持久性トレーニング
持久性運動
耐久力トレーニング
|
筋力運動 |
ウエイトトレーニングレジスタンストレーニング筋力トレーニングウエイトリフティング |
バランス運動 |
バランストレーニング平衡性トレーニング平衡性運動 |
柔軟性運動 |
柔軟性トレーニングストレッチ運動ストレッチ |
体力水準 |
体力レベル身体機能水準身体機能レベル身体活動水準身体活動レベル |
身体活動 |
身体運動スポーツ活動スポーツパフォーマンス |
体力 |
身体活動能力活動能力身体能力身体機能身体遂行能力フィットネス
|
トレーニング |
訓練鍛錬 |
レジスタンストレーニング |
筋力トレーニング筋力向上運動 |
日常生活動作 |
日常生活活動ADLADLs |
余暇活動 |
レジャー活動レクリエーション |
総死亡 |
死亡者数死亡数死亡率全死亡全死亡者数全死亡率 |
冠動脈危険因子 |
冠動脈リスクファクター心血管危険因子心血管リスクファクター |
最大酸素摂取量 |
VO2max最高酸素摂取量VO2peak有酸素能力持久力有酸素パワー運動耐用能心肺系体力
|
運動処方 |
運動療法運動プログラムトレーニングプログラム |
歩行 |
ウォーキング散歩ウォーカー |
ジョギング |
ランニング走運動ジョガー |
生活習慣 |
ライフスタイル生活様式 |
肥満 |
肥満症過体重 |
CHD |
冠動脈疾患心血管疾患心疾患 |
IHD |
虚血性心疾患心血管疾患心疾患 |
収縮期血圧 |
最高血圧最大血圧 |
拡張期血圧 |
最低血圧最小血圧 |
座業的 |
身体不活動不活動非活動無活動 |
自転車エルゴメータ |
自転車駆動サイクルエルゴメータ自転車漕ぎ |
運動負荷テスト |
運動負荷試験持久性テスト持久力テスト |
負荷量 |
ワークロードWatt数 |
運動強度 |
負荷強度強度 |
耐糖能異常 |
インスリン感受性インスリン抵抗性高血糖 |
運動量・身体活動量 |
METs・時/週kカロリーエネルギー消費量 |
高脂血症 |
高コレステロール血症脂質代謝異常低HDL血症 |
骨粗鬆症 |
低骨密度 |
高血圧症 |
本態性高血圧症 |
腹部脂肪症候群 |
内臓脂肪 |
習慣化 |
定期的アドヒレンス習慣性継続性 |
筋力 |
パワー |
高齢者 |
老齢者老人 |
中齢者 |
中年者中年 |
若齢者 |
若年者若年 |
質問紙 |
アンケート調査票 |
乳酸閾値 |
乳酸性作業域値無酸素性作業閾値換気閾値VTATLT |
乳酸閾値 |
乳酸性作業域値無酸素性作業閾値換気閾値VTATLT |
相関関係 |
関連性関係性 |
除脂肪量 |
除脂肪組織筋量筋サイズ |
QoL |
QOL人生の質生活の質クオリティ・オブ・ライフ |
インスリン |
インシュリン |
グルコース |
ブドウ糖糖 |
動脈硬化 |
アテローム硬化アテローム |
脳血管障害 |
脳梗塞脳卒中 |
メタボリックシンドローム |
糖代謝異常代謝異常腹部脂肪症候群内臓脂肪 |
BMI |
体格指数Body Mass Index |
罹患率 |
罹病率有病率 |
体力テスト |
体力測定身体機能テスト身体機能測定 |
マウス |
ラットネズミ |
運動種目 |
運動様式運動方法 |
運動強度 |
主観的運動強度RPEBorg Scale |
カテコラミン |
アドレナリンノルアドレナリン |
介入前 |
ベースライン運動前 |
訓練者 |
運動選手鍛錬者アスリート競技者 |
認知機能 |
脳機能 |
検索項目
以下の項目から検索することができます。
- 論文名
- 著者名
- 掲載雑誌名・巻・号・頁
- 発行年
- 対象
- 地域
- 研究の種類
- 研究の方法
- 介入の方法
- アウトカム
- 概要;文献の概要を文献紹介者が日本語でまとめています。
- 結論;文献から導き出される結論を文献紹介者が報告しています。
- エキスパートによるコメント;文献紹介者が文献に関するコメントを添付しています。
- フリーキーワード