管理番号:
PB012589

書誌情報

論文名:
Effects of resistance training on bone mineral density and resting serum hormones in female collegiate distance runners: a randomized controlled pilot trial./大学女子長距離ランナーにおけるレジスタンストレーニングが骨密度および血清ホルモンに与える影響:ランダム化比較試験
著者:
Tetsuro Kobayashi,Shotaro Seki,Inkwan Hwang
雑誌名:
The Journal of Sports Medicine and Physical Fitness
発行年:
2023
巻:
63
号:
6
頁:
765-772

対象

ヒト:
対象
一般健常者
性別
女性
年齢

18~25歳

対象数
10~50
地域:
地域1
国内

研究の種類・調査の方法

研究の種類:
種類1 (横断・縦断)
縦断研究
種類2 (介入・コホート)
介入研究
種類3 (前向き・後向き)
前向き研究
調査の方法:
方法
実測

介入の方法

介入の方法:
運動様式
レジスタンストレーニング(スクワット,デッドリフト)
運動強度
60-85%1RM(5レップ,5セット)
運動時間
約60分
運動頻度
週2回
運動期間
16週間

アウトカム

予防:
予防 (高血圧症・心疾患・脳血管障害)
な し
予防 (高脂血症・糖尿病・肥満)
な し
予防 (がん)
な し
予防 (転倒・骨折・介護)
な し
維持・改善:
維持・改善 (体力・廃用性萎縮)
な し
維持・改善 (糖質代謝・脂質代謝・タンパク質代謝・骨代謝)
な し
維持・改善 (ADL・QOL)
な し
維持・改善 (心理的指標)
な し
維持・改善
骨密度

概要・結論

概要:

背景と目的:ランニングによる力学的な負荷は骨の成長や維持を促すにも関わらず,多くの研究によって長距離ランナーの骨密度(BMD)が低いことが報告されている。レジスタンス運動(RT)には,BMDを増加させることに寄与するエストラジオール(E2)やデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)やデヒドロエピアンドロステロンサルフェード(DHEA-S)の値を増加させる可能性が示されている。しかし,長期間のRTの介入が骨代謝に及ぼす影響は不明確であり,尚且つ女性長距離ランナーに対する介入研究はなされていない。そこで本研究では,大学女子長距離ランナーに対するRTの介入によつBMDと安静時の血清ホルモンの変化を検討した。
方法:14名の大学女子長距離ランナー(19.8±0.8歳)と14名の運動を行わない年齢を一致させた対照被験者群RTを行う群(20.5±1.6歳)を対象とし,それぞれRTを行う群と行わない群に無作為に分けられた。(RTを行うランナー群:RRT群,ランナーの対照群:RCON群,RTを行う非ランナー群:NRT群,非ランナーの対照群:NCON群)RTは,60%~85%1RMでのスクワットとデッドリフト5回5セットを週2回とし,16週間行われた。また,介入前後にBMDと安静時の血清ホルモンを測定した
結果:RRT群とNRT群において,介入後にBMDの有意な増加が認められた(P<0.05)。RRT群のⅠ型プロコラーゲン-N-プロペプチドは介入後に有意に増加し,その増加はRCON群よりも高かった。(P<0.05)。安静時の血清ホルモンの値は全ての群で変化がみられなかった。(P>0.05)

結論:

RRT群とNRT群の双方で全身骨密度が有意に増加したことから,この結果は大学女子長距離ランナーに対する16週間のRTが全身骨密度の増加に効果的であることを示している。

エキスパートによるコメント:

本研究は標準体重内の健康な学生が対象であるため,相対的エネルギー不足などによりBMDが低下している長距離ランナーに対する治療的効果ではないことに注意が必要である。しかしながら,BMDを維持し,高めておくことは将来の骨粗鬆症の予防として効果的であるため,予防的な観点からは価値のある結果となっている。

担当者:

江添 千峰,宮地 元彦