19歳以下の約40%が脊椎痛を少なくとも1回は経験し、その医療費等のコストの大きさのみならず、青年期の脊椎痛は成人期においてその発生を高めるリスクがあり、予防や早期介入が重要である。本システマティックレビューおよびメタアナリシスの目的は、小児・青年の脊椎痛の発症や予後に対する座位行動の影響を検討することである。2023年3月23日までに公刊され、19歳以下を対象に、アウトカムとして脊椎痛の発生や予後を指標として扱った研究を対象とした。4つのデータベースを用いて検索し、最終的に129研究(横断研究115、縦断研究14)を抽出した。また、脊椎痛に対する座位行動の影響について、86研究を対象にランダム効果メタアナリシスを用いて評価した。
結果として、37ヶ国の研究が抽出された。横断研究では、座位行動と脊椎痛の発症に小さな正の関連が示された(調整済みOR 1.25、 95% CI: 1.17-1.33)。一方で、縦断研究からは、座位行動の長さが脊椎痛の発症リスクを高める証拠は示されなかった(調整済みRR 1.07, 95% CI: 0.84-1.35)。脊椎痛の予後に関する座位行動の影響に関する研究は皆無であった。
若年者の脊椎痛の予防や管理のため、脊椎痛に影響を及ぼす修正可能なリスク因子の特定が不可欠であり、適切に設計された縦断研究の必要性が今後の課題として挙げられた。

横断研究のデータでは、座位時間が長い小児・青年では脊椎痛の発症リスクの調整済みオッズ比がわずかに高かった。縦断研究のデータでは、座位時間の長さが脊椎痛の発症リスクの関連は示されなかった。

多くの若者が経験する脊椎痛と座位行動の関連のこれまでの知見をまとめた貴重な論文である。決定的な結論には至っておらず、今後、質の高い縦断研究や前向きコホート研究を通じた解明や、脊椎痛の予後に対する座位行動の影響についての研究が必要である。